デスクワークがあまり向いておらず、体を動かして働く仕事を探している方もいるのではないでしょうか。
では、体を動かして働く仕事にはどのような種類があるのでしょうか。
今回は体を動かす仕事が好きな269人にアンケートを実施し、「体を動かすおすすめの仕事」や「それぞれの仕事をおすすめする理由」について聞きました。
- 調査対象:体を動かす仕事が好きな人
- 調査期間:2024年12月5日~16日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:269人(女性148人/男性121人)
- 回答者の年代:10代 0.7%/20代 18.2%/30代 32.4%/40代 27.5%/50代 16.0%/60代以上 5.2%
体を動かすおすすめの仕事1位は「軽作業」
体を動かす仕事が好きな269人に、実際に経験したことのあるおすすめの体を動かす仕事を聞きました。
その結果、1位は「軽作業(13.8%)」でした。
2位「引っ越しスタッフ(10.4%)」、3位「清掃業(10.0%)」、4位「介護職(9.7%)」が続きます。
「軽作業」「引っ越し」「清掃」「介護」など、未経験で始めやすく募集も比較的多い仕事が上位に入りました。
働ける場所が多いので、体験したことがある人も多いと考えられます。
1位 軽作業
- 完全なひとり仕事ではないが、人間関係が比較的楽。接客もない(20代 男性)
- 体は動かせるが、室内で作業できる点がおすすめ。適温の環境で細やかに体を動かし続けられる。チーム作業のためタイムスケジュールは決まっているものの、ライン作業ではないので自分のペースで稼働可能(30代 女性)
- 指示通りに歩きながら商品をカゴに入れていくので運動できるし、達成感もある(40代 女性)
1位は「軽作業」でした。
軽作業とは、倉庫や物流センターで行う「ピッキング」「検品」「梱包」「仕分け」などの仕事です。
例えばピッキングは倉庫内から指定された商品を集めてくる作業なので、かなり歩き回って運動力が多くなります。
室内なので、職場内の空調がきちんとしていれば快適な環境なのもメリットです。
また作業中はひとりになることが多く、同僚との会話があまり発生しないのも特徴。
接客業務や電話対応もありません。
そのため職場の人間関係や人とのコミュニケーションで疲れやすい人からも人気があります。
2位 引っ越しスタッフ
- 引っ越しは朝早いけど、案件が終わったらすぐ帰れる。仕事はチームワークなので特段困ることもなかった(20代 女性)
- 重いものを持ったり走ったりするので、運動不足を解消でき、筋肉がつきます。達成感もあるのでおすすめです(30代 男性)
- 同じ作業を続けるわけではないので、メリハリがあります。きつい作業ではありますが、トラックでの移動時間もあるので、実際の作業時間は多いときでも6割くらいで、体への負担は割と少ないです(40代 男性)
2位は「引っ越しスタッフ」です。
引っ越しスタッフは重い荷物を運ぶことも多く、体力を使います。
そのため「意識しなくても筋力がつく」という人も多くなりました。
また会社によりますが、予定されていた作業が終わったら勤務終了というケースもあり、予定より早く仕事が終わることもあるのが特徴です。
日払いの求人もあるため、すぐにお金が欲しいときにもおすすめの仕事となっています。
複数人での作業となるため、体力に自信があり、誰かと一緒に働きたい人に向いています。
3位 清掃業
- 音楽スタジオの清掃。基本ひとりでの仕事なためマイペースでできる。また大きな部屋の掃除や道具運びで体力も使うので、運動量も程よい(30代 女性)
- あまり人間関係がないので精神的にも楽(40代 男性)
- 体を動かして掃除すると、きれいになって気持ちがいい(60代以上 男性)
3位は「清掃業」です。
歩き回って掃除をするので、程よく体を動かせる清掃スタッフ。
ただし「オフィスビル清掃は比較的楽だが、ホテルや商業施設はしんどい」という体験談もあり、職場の建物や担当フロアなどによって、疲労度は変わってくるようです。
また清掃業では、担当した部分がきれいになることによる達成感も得られます。
さらに「基本的にひとりでの作業になるので、人間関係に煩わされない」という意見も複数見られ、コミュニケーションを避けたい人にもおすすめです。
4位 介護職
- 業務内容がはっきりしていて、時間が過ぎるのも早い。何より「ありがとう」と感謝されることが多い(30代 女性)
- 訪問介護で1日に数件担当していて、訪問する家から家へは自転車移動。さらに身体介護や掃除・買い物などの生活援助でずっと体を動かしているので、運動不足にはなりません(40代 女性)
- ガイドヘルパー。視覚障害者の外出支援でいろいろな場所に行くので、体力がつく。また自分の知らない場所も知れる(50代 女性)
4位は「介護職」です。
介護職として勤務していると、身体介護はもちろん生活支援や外出支援でも体を動かします。
しっかり動くので「入浴介助はとくに汗をかく」「本気で働くほど痩せる」「よく眠れる」というコメントもありました。
「利用者から感謝の言葉をもらえる」という介護職ならではのやりがいも。
体を動かしつつ人とのコミュニケーションをしっかり取り、感謝されながら働きたい人におすすめの仕事と言えます。
ただし身体介護で腰痛になる人も多いので、動き方には注意が必要です。
5位 スポーツインストラクター
- 陸上競技教室。子どもとの交流ができ、自分を成長させてくれる(10代 男性)
- クライミングジムのインストラクター。クライミングジムの利用がいつでも無料で、自分のアドバイスで利用者が登れるようになったらかなり嬉しいから(30代 女性)
- ヨガインストラクター。仕事で体調を整えられる(50代 女性)
「スポーツインストラクター」が5位。
スポーツ系のインストラクターだと、利用者に見本を見せるときに自分も動く必要があります。
「インストラクターは職場の設備を無料で使える」「プロテインを安く購入できる」といった職場もあるので、スポーツ経験・知識があり体を鍛えたい人にはもってこいの仕事です。
また利用者の進歩を間近で応援できるのも、やりがいのひとつ。
スポーツ経験・知識やコミュニケーション能力を活かして、人と関わりながら働きたい人におすすめです。
6位 農作業
- 夏の間だけの手伝いでしたが、自然や土に触れながら働くのは想像以上に気持ち良かったです。休憩中にみんなでアイスを食べたり、仕事後に冷たい飲み物で乾杯したりする時間も楽しかったです(30代 男性)
- 四季を感じられる。自分が手を加えたものが成長していく様子を見るので、自分の作業に自信がもてる。相手が自然なので、対人よりもストレスは少ない(40代 女性)
- 花や野菜を育てる仕事。「重たい土の袋」「プランター」「水の入ったジョウロ」を持ち運んだり、立ったりかがんだりして植物の世話をしたりしていると、知らないうちに体力がつき、痩せた(50代 女性)
6位は「農作業」です。
農作業は重い荷物を運んだり、しゃがみこんで作業したりなど体力を使う仕事のひとつ。
また農業ならではのメリットとして、「自然や四季を感じる」「作物が育つので達成感がある」などがあります。
自然の中で作業したり達成感を得たりすることで、メンタルが安定するという人もいました。
天候に左右される仕事ですが、屋外で働くことの気持ち良さを感じたい人にはおすすめです。
7位 配達員
- オフィス置き菓子の配達。短時間で重い荷物を持ちながら何十社も回ります。人と関わって心も元気になり、体力もつく点がおすすめです(30代 女性)
- 宅配サービス。きつすぎず適度な運動もできて、荷物も重すぎない(40代 男性)
- 「荷積み」「荷下ろし」「設置」で体を動かしつつ、運転中は休める。基本ひとりで行動するので、時間や負荷をコントロールできるのもよい(40代 女性)
7位は「配達員」です。
配達員は「荷物を持ちながら、階段や坂道を上り下りする」「荷物の積み下ろし」などで体を使います。
配達する荷物によって負荷が変わりますので、体力や筋力に自信がない場合は、重い荷物が比較的少ない軽貨物ドライバーなどの仕事を選ぶのがおすすめ。
新聞配達やフードデリバリーの仕事もあります。
運転中や移動中は基本的にひとりの時間なので、監視されている感じがない点や自由な点をメリットを挙げた人もいました。
体を動かす仕事が好きな理由は「健康維持につながる」
続いて「体を動かす仕事が好きな理由」を聞いたところ、圧倒的な1位は「健康維持につながる(66.2%)」でした。
2位「ストレスが溜まりにくい(13.4%)」、3位「働いた満足感がある(12.6%)」が続きます。
「健康維持」「ストレスが溜まりにくい」など、体を動かす仕事は心身に良い影響を及ぼすと感じている人が多数。
一方で「デスクワークが苦手だから」と、消去法的に体を動かす仕事を選んでいる人もいるとわかりました。
1位 健康維持につながる
- 意図的に運動しなくても、運動不足にならないから。デスクワークよりも体が凝り固まらないから(20代 女性)
- 頭も体も両方動かすほうが、夜眠りやすいから。頭と目と指先ばかり動かす仕事をしていると、心身ともに不健康になっていく感じがする(40代 女性)
- 筋トレしながらお給料がもらえると考えていたので、肉体労働は苦痛ではありませんでした。体が絞れてきて嬉しかったです(50代 男性)
1位は「健康維持につながる」でした。
職種問わず、体を動かす仕事は運動不足の予防になり、夜にしっかり寝られて、健康の維持につながります。
「事務仕事だと目や肩がしんどい」という声もあり、体を動かす仕事はデスクワークに比べて健康的だと考えている人が多いこともわかりました。
引っ越しスタッフなど、仕事を通じて筋力や体力がつく仕事もあります。
休日や退勤後に運動する習慣がない人にとっては、仕事で運動不足を解消できるのは大きなメリットです。
また「お金を稼ぎながら運動もできて一石二鳥」という表現をした人も複数いました。
2位 ストレスが溜まりにくい
- 動いているとポジティブな気持ちになれる(30代 女性)
- 体を動かすことにより、悩み事などが大したことのないように思えてくるからです(50代 女性)
- 体を動かしさえすれば成果が出るので、精神的に楽である(60代以上 男性)
2位は「ストレスが溜まりにくい」です。
適度に体を動かしながら働くことで、ストレスを解消できるという人も多くなりました。
清掃業など職種によっては、「自分が動いたことによる成果が見えやすく、ストレスが溜まりにくい」というケースもあります。
ただ身体への負担が大きすぎると、仕事で体を使うことがストレスになる人も。
「体を動かす仕事ならどんな仕事でもストレスを感じない」というわけではなく、運動量のレベルや職種・職場特有のストレス要因も考慮しておく必要があります。
3位 働いた満足感がある
- 体が疲れるおかげで達成感があるから(20代 男性)
- 仕事をした感じがするから。達成感があるから(30代 女性)
- 物理的に作業をこなすことで、目に見える形で結果を実感しやすく、達成感を得られます。例えば物を運んだり整理整頓したりすると、完了したときに成果が見えるので、やりがいにつながります(40代 男性)
3位は「働いた満足感がある」です。
男性からの回答が多い項目となっています。
満足感を得られる理由としては「疲労感」や「成果が見えやすい」が挙げられました。
体が疲れることで「今日もよく働いたな」と思えます。
また、成果の見えやすさはストレスの溜まりにくさとともに、満足感にもつながるとわかりました。
4位 時間が早く過ぎる
- 気が紛れて、時間を忘れられるから(20代 男性)
- 座っているより、時間の経過が早く感じるからです(30代 女性)
- 夢中になって仕事をするので、時間が早く感じる(40代 男性)
4位は「時間が早く過ぎる」です。
体を動かして作業しているほうが、じっとしているよりも時間が早く過ぎると感じる人が多数。
「お客さんが来るのを待つ接客業は時間が長く感じた一方、忙しいとやりがいがあるし時間も早く過ぎる」というコメントもありました。
つまり「暇すぎると、時間が経つのが遅い」と感じる人が多いことの裏返しだと考えられます。
ただ体を動かす仕事でも、仕事自体が苦手だったり「暇なほうが考え事できて好き」という人だと、長く感じる可能性はあります。
5位 デスクワークより得意
- 座ってじっとしている仕事が自分に合っておらず、集中力も途切れてしまうから(20代 女性)
- 頭を使うより、体を動かすほうが得意だから(30代 女性)
- 好きというか、パソコン仕事より向いているからやっているという感じかもしれません。本当は事務もやってみたかった(30代 男性)
「デスクワークより得意」が5位。
デスクワークやじっとしている仕事が向いていないため、自身の適性を考えて体を動かす仕事を選んだ人もいるとわかりました。
「じっとしている仕事だとイライラする」というコメントもあり、向いている仕事をすることで、ストレスを感じにくくなる効果もあるとわかります。
まとめ
体を動かすおすすめの仕事としては、「軽作業」「引っ越し」などがランクインしました。
なお「軽作業」「清掃」「配達」「訪問介護」などは基本的にひとり作業の仕事で、「引っ越し」「施設での介護」などはチームワークが求められます。
そのため同じ体を使う仕事でも、ひとりで体を動かしたいのか、みんなで働きたいのかを考えておく必要があります。
また体を動かす仕事のメリットとしては「体力や健康の維持」などが挙がりました。
しかし職種・仕事によっては腰痛の発生などで健康を損ねることもあります。
そのためそれぞれの仕事で「どのくらい体を動かすのか」「自分がついていけるのか」をチェックする必要があるでしょう。
最後に当記事の監修者、パーソナルジムELEMENTの繁田龍之介氏の総括コメントを紹介します。
体を動かす仕事は、健康維持やストレス軽減、働いた満足感といったポジティブな効果が得られる点で、多くの人にとって魅力的です。
この調査では、軽作業や引っ越しスタッフ、清掃業などがランクインし、初心者でも取り組みやすい仕事が注目されました。
一方で、腰痛や身体的負担のリスクが伴う職種もあり、自分に合った運動量や作業環境を見極めることが重要です。
パーソナルトレーナーとしては、健康的な体づくりを促進する側面からも、体を動かす仕事の選択を応援しています。
仕事を通じて得られる体力の向上や、自己効力感が健康全般に良い影響を与えることなどを踏まえると、こうした職種の魅力を広く発信する価値があると考えます。
■監修者プロフィール
繁田 龍之介(はんだ りゅうのすけ)氏
桐光学園ー順天堂大学スポーツ健康科学部卒業。
2022年7月より( ELEMENT)に入社し、現在は教育や研修体制の構築を担当。
また、現役のデュアルキャリアアスリート(ライフセービング日本代表)としても活動中。